VR学会全国大会 特別セッション アニメ『電脳コイル』に見るリアルとバーチャルの接点

chuujou2008-09-25


アニメーターという人種は、人間の認知に対し深い知見を直感的に識っていますな。

http://www.vrsj2008.org/pub/SpecialSession.php

NAISTでやってたので、2時間ほど仕事抜け出してコッソリ聴講。いや、情報収集は立派に仕事ですよ(うつろな目)。
今日まで知らんかったんだけど、会社の人と昼飯食ってたらいきなり「電脳コイルって知ってる」て聞かれてビビッた。どうも、その人は念のためのサクラ要因で呼ばれてたらしい。

しかし、そんなことせずともミレニアムホールはほぼ満席。しかも、司会の人が聞いてみたら会場は80%以上の視聴率。おまいら、、、壇上のパネリストも聴講者もかなり分かってる人ばかりでしたので、かなり濃い話が聞けました。

「なぜVRを題材としたか」という質問に対する答えは、アニメーターの矜持というか業のようなものを感じました。アニメーションは省略の力が生きるメディアなので、リアルを目指すVRに対し(人間の錯覚のような)ごまかしを上手く利用しようとするMRにより共感した、とまあ監督の言いたいことはそういうことかなと思いました。

また、会場からの質問で「MRが社会的に受け入れられるか(意訳)」といったものがありました。これは私も大いに気になっていたことでしたが、結論から言うと監督は肯定も否定もしていないとのことです。それを判断するのはそれを見る人、となるよう両方描くのが映像に携わるものの野心、みたいなことを言ってました。

また最後、仮想現実と精神世界について、語っておりました。実は人間の脳みその中には仮想世界が構築されており、「(認識のための)雌型」のような物があって、実在するオブジェクトをありのまま見てるのではなく、自分勝手に解釈して見てる、といった話がありました。現実にないものを見せるリミテッドアニメーションの監督はこんなことまで考えているのかと、正直驚いたのが今回の講演です。

ちなみに、パネルディスカッションの模様は後でVR学会誌についてくるから、みんな学会に入るようにとのことです。正直今回のネタはあまりにおもろいので、ちょっとハイソなアニメ誌がそのまま記事にしても良いくらいかと思いました。